投球の診方。知っておきたい投球(ピッチング)のチェックポイントについて!
さて、野球についての解説、特にピッチングについての解説はよくネット上に出ています。これも、その一つと捉えて頂ければ嬉しいです。
このページでは野球における投球(ピッチング)についての解説になります。
特に野球のケガをどのように防ぐか?なぜ、ケガをするのか?という観点で見て頂ければ嬉しいです。投球を視るというポイントが必要ですが、どのようにポイントを見るべきか中々指標がないものです。
目次としては、以下になります。
- 投球のチェックポイント
- ターニングオブプレーン
- コッキング総括
- まとめ
1,投球のチェックポイント
先ずは、投球のチェックポイントについて。箇条書きで以下にまとめています。
ここでは4つの観点(投球相)から投球を22のポイントで見ていきます。
①並進運動・・・投げる方向へ。これは、助走であり出来るだけ重心を大きく前へ運ぶ。
身体をキャッチャー方向へ向ける動きです。投手では他の野手と比べるとステップを踏むことは出来ません。その為、いかに体を捕手方向へ向けられるかという点が必要です。そこで以下の4つをポイントとして挙げます。
・右股関節の引き込み
・軸足を伸び切らせる
・軸足を投げる方向へぶつける
・反対方向を取り残す
②回転力・・並進運動で得た力を上へ伝える。ブレーキの役割をする。
ここでは、上記で得た力を上半身へ伝える力が必要です。上半身の手先までボールの力を失わずに投げるために必要な下半身の力とも言えます。
・軸足を伸び切らせる
・開かない
・トップを作る(コントロールに関係する。SSEを作り回転力により腕がしなる)
・左股関節の可動域・・・左股関節で回る
・着いた足の固定。軸足の膝はつかない
③体幹の動作
ここでは、体幹をストレッチ状態の保つことと、左股関節で回る事が大切です。
・体幹の回転で腕をふる。
・左股関節で回転する際に、投球足が遠い位置にあり、常にストレッチ状態である
④腕の動作
ここが、最終局面です。並進運動から始まった力のリレーも最後は指先から放たれるボールに、力を伝えるまでの大切な家庭です。
・足がついて、左股関節で回る際に腕の引き込みが重要
・リレーのバトンを取るように肩を内旋させる。
・顎で肩を隠す
・肩甲骨を引き込んだら、内転位を保つ
・投球腕は、身体に巻き付くように置いて出てくるのがベース。これがずれると手投げ
⑤必要となる動作のトレーニング要素
ここまで4つのポイントで見ましたが、この4つを行う上で大切なトレーニングの要素としては以下があります。
・運動の仕組みの理解
・効率が良い動きは力が入らない
・動作があって、トレーニングになる
・動きが重要
・全ての筋肉が引き延ばしに耐えれるように
・面を作る→並進運動→着地→トップ→左股関節のローテーション
2,ターニング・オブ・プレーン(TOP)
ここでは、投球についてターニングオブプレーンを解説していきます。このターニングオブプレーンとは俗に言う「トップ」と言われます。
そこで、先ほどの説明に連れて投球を4つの相(フェイズ)をおさらいしていきます。
投球の4つのフェイズ
①ワインドアップ
②コッキング
③加速期
④フォロースルーと言います。こちらは有名な投球を解説する説明ですが、投球を視るという点で知って頂きたいのが、これからお話しする考え方です。
また、この4つの相よりももっと細かく見ていくことも可能です。しかし、今回は一つのポイントを見ていきます。
「ターニングオブプレーン」:体幹を基準に上肢と下肢が逆回転するフェイズ(俗に言われるワレ、トップと言われる。)
このトップがズレる事で身体の開きや突込みや肩に影響を及ぼすケガを産むと原因を考えます。
そのため、特にワインドアップやコッキングを見ていくとトップを作る要素を紐解くことが出来ます。
ワインドアップ
ワインドアップでは、安定した片脚立位で非支持側下肢挙上により安定した位置エネルギーの獲得が目的です。
※高い位置にある物体は、低い位置にある物体よりも大きいエネルギーを持っている。(このエネルギーを重力による位置エネルギーという。)
また、コッキングに悪影響を及ぼさない点で必要なことは、骨盤と体幹の非投球側回旋です。
その為に、片脚立位時に重心線が足部の第2指付近におきます。これは前額面上の体幹のアライメントを崩さないために必要な事です。
問題提訴
早速ですが、ここで、問題提訴です。
若しも以下の要素でワインドアップの不良肢位が以下の原因で起きるとどうでしょうか?
- 小指側荷重
- 母指球荷重
- 骨盤後傾(ただし、体重移動時に骨盤が前傾していれば問題なし)
- 骨盤~体幹の前後でバランスを保つ
これらが以上の現象で、ケガを引き起こす要素として、
・タメ不足のまま前方へ移動している。
- いわゆる右股関節への引き込みが出来ていない状態
・早い重心移動
- 体の開きが助長する。
このような原因が予想されます。
アーリーコッキング
骨盤から体幹の回旋角度を維持(タメ)する必要があります。この際、軸足の反対脚は地面に着く手前で、投球側の肩は最大内旋位になります。
ここが、トップを作るための準備段階となります。
レイトコッキング
ここで、前足が地面に着いて投球手は、最大外旋位になります。
この際、大切なのは軸足からの並進運動で得た力を非投球側へ伝えること。また、着地足(foot plant)のブレーキ機能と股関節の回旋力が必要です。そして着いた側の膝が割れない事が重要です。
実は重要な点として、股関節の内旋ROMは非投球側が大きいです。これも、投手のスクリーニングで必要ですが、股関節で身体を回すため、非投球足の股関節がいかに回るかが重要です。
【過去に肘痛で悩んでいた選手が、色々な治療院で肘を診てもらったが治らなかったと。しかし、股関節の動きを改善したことで、肘痛が改善したという話を聞いた事があります。】
3、コッキング総括
ココでは、ターニングオブプレーンについて纏めます。
上手な選手は投球動作で前足が着地した時に、投球側の前腕が垂直に立っていて、上体は開きません。(両肩を結ぶ線がホームプレートの方向を向いている。)
投球側の肘の高さは両肩を結んだ線よりも高くなりません。(SSE:ショルダーショルダーエルボー)
上記のような写真が理想のトップですね。この位置がずれてくるとケガに発生すると考えます。
そのため、実際にピッチングを視る際は、左足と右手のタイミングが合っているか?というポイントで見ることをお勧めしています。
①ケガをしやすい投げ方として
これは、元日本ハムファイターズの八木投手です。若干サイド気味から投げるボールが打者を困惑させていたイメージがありました。
さて、この上での図ですが、問題提訴として足の着地時にボールを持っている手の位置が最大外旋位に達していません。
そのため、コッキングの遅れが生じています。体が開くので、スラップや肘痛を引き起こす可能性が高いです。
これは、中日ドラゴンズの吉見投手です。
本格派の右腕のイメージですね。
こちらも、左足の着地地にまだボールを持つ手が最大肩外旋位に達していません。いわゆる開きが早い状態です。
これもスラップや肘痛の原因をおこします。
このお二人に共通しているのは、非投球足側の脚が地面に着いた際に投球側の肩が最大外旋位にいないことです。タイミングが合っていないと捉えています。
4、まとめ
さて、投球の診方ですが、如何でしたか?
私がお勧めする投球の見方は、非投球足が地面に着いた際に、ボールの位置も最大外旋位にあるか?です。
このタイミングがズレるとどこかに障害をおこします。もちろん、投球数とともに障害の発生率も上がりますが、動作の評価として見て頂ければと思います。