スポーツトレーナーが読んでおきたい書籍/本の紹介 PART1
ここでは、私が書かせて頂いた書評について掲載しております。
なお、全てアタックネットの書評コーナーにて掲載されております。
1,スポーツを仕事にするという選択
2,甲子園という病
3,アスリートのための筋力トレーニングバイブル
4,日本最高峰のバスケ学 桜花流・上達論
5,高校球児に伝えたい!ラテンアメリカ式メジャー直結練習法
6,問いかけ続ける世界最強のオールブラックスが受け継いできた15の行動規範
7,解剖学で分かる ランニングシューズの選び方
8,メジャーを叶えた雄星ノート
9,ピラティス・バイブル 創始者J・Hピラティスの信念と哲学 そして神髄
10,すごい筋肉貯金「ながら筋トレ」で死ぬまで歩ける筋肉を貯める方法
1,スポーツを仕事にするという選択
著者:池上 達也
出版社:秀和システム
「なぜ、世の中に数ある職種の中でスポーツビジネスを選ぶのか?」
2019年にはラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピック、2025にはワールドマスターと、史上稀にみるスポーツイベントが立て続けにここ日本で開催されます。きっと数多くのスポーツファンがブラウン管にかじりつき、メディアでも連日連夜と結果について報道されるでしょう。そう思うと日本人は、スポーツが大好きです。そしてスポーツと縁が深いはずです。
まず中学校・高校では「部活」や「体育祭」を体験します。
また、日本の戦後の復興にはONコンビ(王・長嶋)に代表されるように野球で盛り上がり、力道山という最強のプロレスラー・若乃花、貴乃花にみる相撲人気といい、スポーツヒーローが出現しました。その後、サッカーワールドカップの出場やオリンピックでは金メダル獲得などに日本中が沸きます。きっと日本人のDNAはスポーツが大好きです。
しかしながら、スポーツビジネスの主役であるスポーツ選手には選手寿命があり、引退した後にはセカンドキャリア問題があります。よくある話はそのスポーツの指導者という職につける人もいますが、全てがそうはいかず一般の職に就きます。メインである選手の生活環境が不安定な状況で、選手ではない我々がスポーツビジネスで生計を立てるのは難しいと世間では言われます。ましては、スポーツは興業的な要素もあるのでなおさらです。
それでも、なぜスポーツに関わる仕事を行うのか? その意義をしっかり持つことをこの書籍では考えさせられます。
著者は、スポーツビジネス職への斡旋を主にされていますが、スポーツビジネスで働く理由をヒアリングして納得できるものでなければ転職しないほうがよいと論じています。
それゆえ、冒頭の質問に戻りますが、なぜスポーツビジネスに携わりたいのか? スポービジネスに携わり達成したいその目的がリアルであればあるほど、その目的に対してさまざまな手段を選ぶことができます。
それが、自分の夢なのか、好きなことでメシを食べたいのか、それともスポーツへの恩返しなのか、などここではたくさんの目的があると思います。そのきっかけを考えるには十分の書籍であり、スポーツビジネスに関わりたい方はぜひ目を通して欲しいです。
さあ、あなたはなぜスポーツビジネスで働きたいですか?
2,甲子園という病
著者:氏原 英明
出版社:新潮社
100年を迎えた全国高校野球大会。
毎年夏の風物詩である「全国高校野球選手権大会」は、おらが町の地元のチームを応援しようと町中が湧き上がる大会です。アマチュアスポーツで、ここまで盛り上がるスポーツ大会も高校野球のみではないでしょうか。ましてや、主役は18歳の高校生。毎年甲子園を沸かして、その年のドラフトが盛り上がりますね。
さて、この書籍は「甲子園」という最高の舞台を目指している高校生やそれを支える指導者、また、小学生・中学生と遡り、指導環境への問題提起をしていきます。取材を基にリアルにメスを入れています。私も高校野球経験者の端くれであり、高校野球のサポートをしてきた経験もありますが、大変共感できる逸話が多いです。
著者が疑問を呈しているのは、これまで高校野球の指導者は怒鳴ることで選手を動かしてきたこと。その産物で、自らの頭で考えることができなくなる選手。絶対的エースと言われ、連投につぐ連投で自らの肩肘がボロボロになるまで壊して勝利へと導く選手。そして甲子園大会では連戦が続く過酷な日程と異常な暑さの中で行われる試合という深刻さを挙げています。
書かれている表現で面白いのは、外国人から見た甲子園の試合日程と試合環境は「虐待」であると感じるということです。我々は普通に感じていることが客観的に見たら異常に感じられる。これも甲子園という魅力に取りつかれた日本人の病と言わざるを得ないのかもしれません。
また、毎年の大会でマスメディアの報道の過熱によってヒーローが出現することにより、その子の人生が狂ってしまう危惧も懸念しています。本人が意識していなくも、周りの過熱により意識してしまうのが人間の心情ではないでしょうか。現実と周りの世界のギャップに、自らの自分を見失ってしまう。ましてや高校生には酷な話です。
これまでの高校野球の指導法は、怒鳴ることや暴力などのパワハラなどについて見直しが図られています。これは、今後の指導法に変革や改善がなされていくと思います。もちろん、怒鳴りやパワハラはあってはいけません。高校野球の指導者も一人の人間であり家庭があります。お子さんもいる指導者も必ずいます。土日の大切な時間を使い、選手へ指導にあたることは家族との時間を減らします。それを辛抱している奥さんやお子さんがいるということです。その事実も踏まえて、少しでも甲子園という最高の舞台が、よりよいモノになることを願っています。
必ず光があれば影があるもの。今回の書籍はその陰に切り込んだ書籍です。「野球」が好きな人や野球に関わる全ての人に目を通して欲しいと願う一冊です。
3,アスリートのための筋力トレーニングバイブル
著者:谷本 道哉 荒川 裕志 石井 直方
出版社:ナツメ社
本書は、これまで一般的であったトレーニング界の定説を振り返ると共に、現代のインターネットやテレビにあふれる過度な情報世界で生きる私たちにとって、今一度立ち止まってトレーニングの考え方を見つめ直すきっかけを与えてくれます。
指導者がトレーニングなどの体力向上メニューを考える際に、過去の経験に基づき今日まで存在するメニューを選手に与えることが往々にしてあるのではないでしょうか。また、勉強熱心になると新たな手法を取り入れて施しますが、基本ができていない状態ではトレーニングの効果も半減します。
そこで、本書を紹介したいと思います。現在第一線で活躍している著名な先生方が各章を分担しています。もちろん著名な先生が執筆するからよいというわけではありませんが、エビデンスや、現に世界や日本のプロで活躍しているアスリートを指導しているトレーナーやコーチの経験に基づいた話です。
また、巻末に掲載されている著者と監修の先生方による「トレーニングにまつわる都市伝説に対する問題提起」の対談は一読の価値ありです。これまで「当たり前」に考えられていたことについてのディスカッションは参考になります。
スポーツトレーナーやスポーツ指導者(監督やコーチ、父兄)に本書をお勧めします。なぜならば、現代のスポーツ科学について研究の視点からも言及されており、古くから存在している考え方に対して今一度見直すことができるからです。情報を見分ける基準になります。
しかしながら、この本書も含めて全ての情報を鵜呑みにせず疑ってみることも必要です。著者も、読者がこの本を鵜呑みにせず自ら考えて最適解を導き出すことを望んでいるように感じます。
いずれにせよ、トレーニング指導で迷った際に最適な答えを導き出すためのきっかけを与えてくれます。
4,日本最高峰のバスケ学 桜花流・上達論
著者:井上 眞一 三上 太
出版社:東邦出版
ここ数年前まで日本男子バスケットボール界はBJリーグとナショナルリーグの2つのプロリーグが存在していました。そのため、国際オリンピック機構より2つのプロリーグが国内に存在するため、オリンピックへの出場は不可との判断を下されBリーグが発足したのは記憶に新しい出来事です。そんな男子バスケ代表は3大会ぶりにオリンピックへの出場を決めましたが、同じく女子バスケ代表も2大会連続5度目のオリンピックへ出場します。
この書籍は、その女子バスケットボール界日本代表クラスの選手を何人も輩出した指導者の経験や指導法が詰まっている一冊です。女子バスケファンならきっと知りたい逸話も多いはずです。
近年「学生アスリートへの指導の在り方」が世間から問われています。指導者が生徒へ対して振るう暴力や、行き過ぎた言葉のパワハラが問題視されています。それらは一人の指導者が生徒への接し方や、指導のスタンスを見直す必要がある問題だからです。この点、著者の述べている指導方法は、指導者として参考になります。
学生アスリートへの指導の根底には、まだまだ軍隊式の上下関係があります。この上下関係も一朝一短ですが、著者は現役時代に上下関係に嫌気が差したと述べており、3年生、2年生、1年生といった上下関係に縛られないチームを作っています。
よく聞く話ですが、昔会社勤めしていた経営者は自分が起業した際、従業員時代に自分がされて嫌だった組織のルールを反面教師にして新しいルールを作ろうとします。そんな考え方が、どことなく著者の述べるチーム作りに似ています。
そんな著者の指導方法の基準として「バスケが好き、教えるのが好き、子供が好き」です。好きこそ物の上手なれと諺で言いますが、まさにこの諺を率先する指導者です。バスケ好きならず、学生アスリート指導する指導者に読んで頂きたい一冊です。
5,高校球児に伝えたい!ラテンアメリカ式メジャー直結練習法
著者:阪長 友仁
出版社:東邦出版
野球は、本来楽しむものです。日本を代表する国民的スポーツである野球は、皆小さい頃にたまらなく好きで始めていませんか? 昨今、野球人口の減少や野球熱の低下とささやかれている野球界だからこそ訴えたいテーマです。
この書籍では、日本の野球観とラテンアメリカの野球観の違いがはっきりとわかります。大きく捉えるとお国柄の違いもあります。しかし、ラテンアメリカでは野球が将来メジャーリーグを目指すための方法であり、日本では教育としての方法という差があります。そして、考え方だけではなく技術面でも違いがあります。たとえば、日本の指導ではゴロ捕球は正面に入って取るのが基本ですが、ラテンアメリカでは逆シングル捕球を推奨しています。この違いにより、メジャーリーグに日本人野手がラテンアメリカに比べて少ないと述べられています。
面白い違いは、日本で人気のポジションはピッチャーであり、早い頃(小学生、中学生)に投げ込みが原因で肩をケガする選手が多いですが、ラテンアメリカでは不人気なポジションになります。不人気のため、ピッチャーの投球過多問題やケガとは無縁です。ちなみに、肩を消耗品と考えると日本人メジャーリーガーで40歳前後まで活躍した投手は高校時代にエースではありませんでした(上原浩治氏、野茂英雄氏、斉藤隆氏、黒田博樹氏)。
最近では筒香嘉智選手(横浜DeNAベイスターズ)が野球指導に対する啓蒙活動を行っています。かつて筒香選手が在籍した堺ビッグボーイズでは、これまでの指導方法を改めて新たな形を模索して動いています。書籍の最後に登場しますが、これまでの慣例を壊していくような目からの鱗の実話が多く参考になります。
メジャーリーグに日本出身選手よりもラテンアメリカ出身の選手が多いのは環境の違いと言えば簡単です。夏の甲子園大会の日程や投球数など、さまざまな問題がありますが、ラテンアメリカの野球を知ることで日本野球を別の角度から見ることができま、なぜ日本人メジャーリーガーが増えないのかを考えるヒントを与えてくれます。
6,問いかけ続ける世界最強のオールブラックスが受け継いできた15の行動規範
著者:ジェイムズ・カー 恒川 正志
出版社:東洋館出版社
「カ・マテ! カ・マテ!」(死ぬ!・死ぬ!)
「カ・オラ! カ・オラ!」(生きる!・生きる!)
これは、ラグビー世界最強のオールブラックスこと、ニュージーランド代表チームが試合開始前に行う先住民マオリ族の儀式の言葉の一つです。ハカによって、先住民の魂を呼び戻すと言われています。
その「ハカ」が、オールブラックスの強さの秘訣と言えばそれまでですが、この書籍では一つのラグビーチーム・フィフティーンになぞらえて15の章でオールブラックスに伝わる行動規範を強さの秘訣として伝えています。
この書籍のタイトルにもある「問いかけ続ける」伝統こそが、勝ち続けるチームの秘訣であると説いています。この書籍では、ラグビーというスポーツですが、会社で働くビジネスマンにも通じます。スポーツとビジネスの違いがあっても組織で動くことには変わりないからです。
勝率8割以上という驚異的な数字を残すオールブラックスは、試合で勝つという結果を残しています。各章で紹介されている項目が正しいマインドセットを整え、この勝利という裏づけとなりました。
個人が組織で働く際、個人のパフォーマンスを最大にする必要があります。しかし、ただパフォーマンスを上げれば良いわけではなく一個人として秩序とマナーを守ってこそよい組織になります。とりわけ、オールブラックスには15個のマインドセットが浸透し、同じ方向を向いて勝利へと進んでいます。
本書では、2004年の主要メンバーの話が出てきます。この当時に起きた問題からオールブラックスが復活を遂げた「問いかけ続ける」本質を分かりやすく紹介されています。もうすぐ日本初開催のラグビーW杯が開幕します。どのチームが栄冠を勝ち取るのか、この書籍を読みながら観戦するのも面白いと思います。
7,解剖学で分かる ランニングシューズの選び方
著者:鈴木 清和
出版社:スタジオタッククリエイティブ
夏も過ぎ去り、ようやく秋の気配が感じられます。この秋シーズンから全国でマラソン大会が開催されるにつれ、ランニング練習をする方が街中で見られます。
さて、この書籍はランニングシューズに着目しています。日本の各スポーツ用品メーカーを見ても毎年しのぎをけずりながら新しいランニングシューズを作っています。もちろん海外からも素晴らしいランニングシューズが発売されています。そう思うとランニング愛好家は数あるシューズから自分の足に合った1足を決めるのは本当に悩ましいことだと思います。
そもそも、足が地面を蹴るには靴が必要です。なぜなら、アスファルトを蹴るには裸足では痛すぎるからです。その靴が足本来の持っている機能を引き出すためには、自らの足に合っているシューズ選びが必須です。
本書では、そんなランナーのために自分の足に合った靴選びの方法を紹介しています。ランナー自身の体格、足の形、着地の仕方、ランニングフォームや、シューズの形状や硬さや柔らかさ、シューズの合わせ方、紐の結び方まで多岐にわたります。まずは現在使用しているシューズがどのタイプに該当するか、確認することをお勧めします。ただ、自分自身のフォームが分かりづらい点や、自分の着地のタイプがどのタイプに分類されるか正しく識別する判断基準が難しいです。また、数あるシューズから自分に合ったシューズを選ぶ大変さや、予算の面など、時間とコストを考える必要性もあります。
私も恥ずかしながら一度だけフルマラソンを体験しています。なんとか完走しましたが、35キロ過ぎから糖分を使いきった影響で頭は働かず下半身は疲れ切り、足裏が靴擦れでヒリヒリと痛かったことを記憶しています。その際に使用していたシューズは忘れましたが、もっと自分に合ったシューズを選んでいればもっと楽に走れたかもしれないと後悔しています。
著者は冒頭で「シューズは足に合わせるな」と述べています。逆を言うと、シューズは自分の足に合わせるべきと解釈することもできます。ぜひ、これからのマラソンシーズンに自分の足に合ったシューズを見つけて楽しいランニングライフを送ることを願っています。
8,メジャーを叶えた雄星ノート
著者:菊池 雄星
出版社:文藝春秋
菊池投手(シアトル・マリナーズ)は「千里の道も一歩から」「ローマは一日にしてならず」といったフレーズが似合う選手です。「書く」という作業を14年間も続け、自らを成長させた菊池投手の苦悩・葛藤・反省・目標がこの書籍からわかります。また、高校生時代のノートと埼玉西武ライオンズ時代のノートを比較することで、プロになるまでの成長の段階も垣間見ることができます。
この「ノートに書く」という大切さを指導していたのは、甲子園にも出場した花巻東高校時代の佐々木監督です。佐々木監督は大谷投手(現アナハイム・エンジェルス)と菊池投手の高校時代の恩師です。菊池投手は文中のノートに「佐々木監督のミーティングを受けたい」と述べています。その指導力の素晴らしさについて「言語化を求める」と表現しています。言語化による再現性が指導力のよさであり、お互いにコミュニケーションを取る道具になります。そしてノートを書くことが言語化するために必要な作業です。
大型書店の自己啓発コーナーには今も昔も「目標達成」に関する書籍が数多くあります。その中でも、この書籍は1人の野球選手が14年にもわたり書き続けた記録が残っています。こんなに、地道に何時間もかけて赤裸々に書き記されたノートは最高の教材です。今現在目標を達成するために行動している方に参考にして頂きたいです。
私も一時期は、手帳にスケジュールを書いて、その日に感じたことを書き込んでいた時期があります。しかし、スマートフォンにスケジュールを記載するようになって「書く」という作業がなくなり、反省しています。感情や言葉や気付いたことを紙に記すことは、人類の発展にも関わっています。文字を書くことは、我々が生きていく上でコミュニケーションを図る方法の1つであり、決してなくすことはできません。改めて、思いや言葉を文字にする大切さを教えてくれる書籍です。
9,ピラティス・バイブル 創始者J・Hピラティスの信念と哲学 そして神髄
著者:櫻井淳子
出版社:現代書林
一般の方から、プロアスリートまで老若男女を問わず人気が高いエクササイズがピラティスです。とくにフィットネスクラブのスタジオレッスンの中で行われることが多いです。日本では2000年初頭から人気を博し、徐々に浸透していった印象があります。現在では数多くのピラティス団体が存在しており、ピラティス指導者が毎年誕生しています。
さて、この著者も元々は体の不調を治すために受けていたピラティスに魅了され、指導者へと進んでいます。指導者として携わっている過程でよりピラティスを学びたいという意欲から渡米し、創始者ジョセフ・ピラティスから直接指導を受けた経験を持つ指導者の元までたどり着いています。ここまでの情熱を持った著者だからこそ、伝えたいピラティスの真髄や考え方があります。そして、「ピラティス」という言葉だけが一人歩きしないように書籍内で警鐘を鳴らしています。ジョセフ・ピラティス氏の一生涯についても詳しく書かれています。また、愛弟子であるロリータ氏からの話もあり、ジョセフ・ピラティス氏について深く知ることができます。
私も16年ほど前ですが、大阪市内のマンション内で大きなリフォーマーを使用して一度だけピラティスを経験したことがあります。その際、指導者のキューイングに合わせて動いていましたが、実際の動きと自らの体の動きがリンクせず非常に難しかった記憶があります。私の体が硬いこともありましたが、関節一つ一つを細かく動かすのがこんなにも大変であると感じました。
各団体により、その考えも色々ありますが、ピラティスはジョセフ・ピラティス氏が作ったものであり、礎の元は彼です。ピラティス指導者やピラティス愛好家は迷った際、この書籍から創始者の考えに触れる、またその志を学ぶことをお勧めします。
10,すごい筋肉貯金「ながら筋トレ」で死ぬまで歩ける筋肉を貯める方法
著者:谷本道哉
出版社:宝島社
現在、男性の平均寿命は81歳、女性の平均寿命は87歳となり、人生100年時代と言われています。また、iPS細胞や再生医療の技術の進歩により、平均寿命がさらに伸びると予想されています。昨今、60歳以上の人口の増加や、少子化(2019年の出生率が90万人を割り67万人)により、ますます大人が健康に気を遣う時代になっていくと予想されます。そのため、筋肉貯金が必要であることがこの書籍から分かります。
高齢者では、ふいな転倒をしたが故に入院生活を余儀なくされ、寝たきり生活も考えられます。他にも、心不全・脳梗塞・がん・慢性閉そく性肺疾患など内科的疾患を患うことも考えられます。しかし、これらは筋力があることで発症率が低下すると報告されています。また年齢を重ねることで考えられる病気として、認知症が挙げられます。この認知症の予防や進行防止に筋トレが効果があると教えてくれます。
運動習慣のない方に「運動」と伝えると、経験がないという理由で敬遠されがちです。しかし、70歳や80歳になっても筋トレを行うと筋肉は増えます。そして、身体の筋肉を作るには運動ももちろんですが、栄養(食事)も大切です。この書籍では食事についても最新知見が盛り込まれており、高齢のクライアントの方にも知ってもらいたいと感じる情報が沢山あります。
私の地元は田舎町で、母も後期高齢者の域に達しています。この本を読みながら、母は大丈夫かと心配をしています。母も決して運動をするタイプではなく田舎ならではの車社会で生活しています。書籍は運動初心者でも読みやすいため、プレゼントして長生きしてもらいたいと切に願っています。
やはり、第三者(薬やヘルパーさん)の力を借りて生活するよりも、自分の足で歩いてイキイキと生活を楽しみたいです。運動指導者として、クライアント自ら考えて積極的に健康に近づくためのお手伝いをしたいですね。