リ・コンディショニングプログラムの作成について
今回、ご紹介するのは、リ・コンディショニングプログラム作成のポイントについて。
トレーナー自身も、持っているスキルやバックグラウンドも違います。
そんな時、アプローチの方法は違っても、考え方は統一出来るのではと考えています。
いわば、リハビリの地図です。どこに向かえば良いのか分からなくなった時に照らす指針となるでしょう。
そこで、その考え方について、ご紹介させてください。
1、リ・コンディショニング(リハビリ・トレーニング)とは?
:再び適した状態にすることを指します。
再び「re」適した「habilis」~にすること「ation」と訳すと納得して頂けるのはないでしょうか?
これは、リハビリテーションの語源です。
「RE」は再び。「コンディショニング」は調整するです。よって、再び調整するという意味です。
このリハビリトレーニングですが、一般の方とアスリートでは、最終的なゴールは変わってきます。
最終的なゴール:対象者によって変わってくる。
- 一般・・日常生活の獲得(メディカルリハビリ)
- アスリート・・競技復帰(アスレティックリハビリテーション)
となります。ただ、ゴールは再び適した状態に戻すことを指します。
それでは、実際の紹介に入る前に、復帰するまでの4つの条件を述べたいと思います。
復帰するまでの4条件(Basic)
実際に競技復帰するにあたり、4つの条件を策定しました。
①痛み・腫れがないこと。
②関節可動域(ROM)があること
③筋力の回復
④機能動作の獲得
この4つの条件をクリアすることで、競技復帰が可能になります。
では、この4つの条件を詳しく見ていきます。
①痛み・腫れがないこと・・・急性、慢性
- RICE
- マッサージ
- 物理療法
- 針灸
- ホットパック
- 電気
- 干渉波
- テーピング
大まかにこれらの方法があります。
②関節可動域の獲得・・・制限因子は何か
- 可動域運動療法(維持)
- ストレッチング(拡大)
- パートナーストレッチ
- セルフストレッチ
- PNFストレッチ
- 部分ストレッチ
可動域を出すこともリハビリではとても重要です。ここでは、もっと他にもあるという声が聞こえそうです。
受傷する前と同等の可動域を確保しましょうという意味です。
③筋力の獲得・・・数字で表す
- マシントレーニング
- フリーウエイト(バーベル・ダンベル)
- 自体重
- チューブ
- 徒手抵抗(マニュアルレジスタンス:MR)
よくリハビリでは、健側の8割の筋力という表現もありますね。その点、数字で表すのは大切です。
やはり、筋力の獲得は不可欠です。
④機能動作の獲得・・・
ベーシック・・・走るなど 何かが出来るようになった
- ジョグ・ランニング
- SAQ
- バランス
アドバンス(競技別)・・ボールを投げるなど
- ジャンプ
- スローイング
ここでは、競技に即したリハビリが実施されます。その競技の動きや、選手がケガをしたプレーを再現させて痛み無く出来るかという点もとても重要です。
特にこの分野では、15分走れる能力がついたねと言う 「~がついたね」 という言い方や説明を行います。
ここでは、実際に競技にみたてたメニューが必要になってきます。
2,プログラムの立て方
評価→リハビリ計画→リハビリ実行→リハビリの評価 になります。
ここでは、俗にいうPDCAプランになります。よくビジネスシーンで使いますね。
この点を踏まえると、どの仕事でも共通だと感じます。
評価して、計画を立てて実行する。そして、どうだったか再検証する。この繰り返しです。
全体のプログラム作成
では、ここで仮に2か月のプランを立てた場合として先ず、全体の2か月間のプランを作成します。
画像をご覧ください。
そこから、1か月目、2か月目と分類していきます。ここで、結果として3枚のシートが出来ます。
①全体としての表がこちら。
この際、〇週目までには可動域を回復だったり、片足でケンケンが出来ればランニングといったデッドラインも決めておきます。
このデッドラインが一つの基準になるので、メニューを作成する際のレベル分けの根拠にもなります。
1か月単位のプログラム
1か月単位はまず全体のプログラムから抽出します。
いわば、全体という枠から少し詳しくなったイメージです。
①1か月目
②2か月目
ここでは、全体の流れを決めて、そこから1か月目・2か月目とメニューに落としていきます。
これを決めることにより、1週目~8週目まで何を行うかアウトラインが完成します。
1週間単位のプログラム作成
ここから、1週間の間の7日間で何を行うか決めていきます。
それが、このようなシートです。
4つの条件に当てはめて、行う内容を決める事が出来ます。
よって、2か月プログラムだと合計で8枚の1週間分のプログラムが作成されます。
1週間のメニューも決まってくると次は1日ごとに何を行うかというメニューもおのずと分かってきます。
1日単位のプログラム管理
ここまで来るとあとは日々1日1日と選手に向き合ってリハビリメニューを行っていきます。
これは、カルテなのでここに記載をしながら、全体の表を見比べます。ただ、毎日メニューをこなせばよいわけではありません。
1日を振り返ってどうだったか?
1週間を振り返ってどうだったか
1か月を振り返ってどうだったか?
2か月を振り返ってどうだったか?
と想定していたプログラムとずれてくると、何が原因だったのか見えてきます。
こちらの予測不足か、選手がこちらの言う事を聞かなかったのか?これも一つの指針になります。
細かいメニューの作成方法
さて、ここでは細かいメニューの作成方法についてです。
例えば、ランニングを行いたい場合に、5日間の猶予があります。
また、5日目にはスピードを意識したランニングを行いたいと設定します。
そうすると自ずとレベルの段階も5段階で、最後の日にスピードを意識した内容が組み込まれます。
とすると、残りは4つの内容になります。ここは、どの位の幅分けをするかによって数値の設定が変わってきます。
このような内容になってくるかと思います。
(このため、最後のゴールを決めてレベル分けの段階を設定するたけで、自由にメニューが作成出来ます。)
段階的に、負荷を上げていくプログラムが完成します。
メニュー立案について参考にする指針
- メニューは選手から聞く(選手が一番怖いメニューを知っています。)
- メニューの負荷は80~60%(全力だとケガします)
- メニューの幅は広く(幅を持たせる事で、段階的に進めます)
若し、予定通り行かなければ、、、
その際は、全部ずらします。
1週間をそのまま後ろにずらす事です。
3,まとめ
痛みの感じ方は人それぞれ違います。それに、可動域・筋力・機能動作も人それぞれ違う。
大切な事は選手と、二人三脚で取り組むこと。独りよがりのメニューを作らないことです。
選手目線のメニューを作る必要性があります。